「碇シンジ。おそらく彼は、サードインパクト後の世界から逆行して来ています」








ある男の悲劇と対策
第三話



「なんだと?」
 「私がこの世界に来たのは、貴方がシンジを捨てたすぐ後でした。
  そのことにすぐに気が付いた私は、急いでシンジを迎えにいったのですが・・・」
 「居なかったと言うのか?」
 「はい。預け先にも連絡を入れてみましたし、
  諜報部や警察にも協力を頼みましたが、どこにも居ませんでした。
  まぁ、どこに居るのかはおおよそ見当が付きます。
  このパターンだと、8割がた碇の本家に居るでしょう。
  おそらく、来るべき使徒襲来に向けて力をつけているものと思われます」
 「なぜそう思う?」
 「シンジ君にとって、1番の目標はサードインパクトを阻止することです。
  そのために、ゼーレに対抗しうるだけの権力を得ようとするはずです。
  そこで一番手っ取り早いのが碇家の保護をうけ、補完計画のことを話して
  協力を得ることです。あそこは元々かなりの権力を持っていますし、
  すぐにゼーレに対抗しうるだけの力を得ることができるでしょう」
 「目指すところが同じなのだから、こちらのことを話し、
  協力を得ればいいのではないのか?」

まぁ、普通はそう考えるよな。だが、
 「こちらのことを話したとしても、まず協力は得られないでしょう」
 「なぜかね?」
 「ゼーレがあったから、サードインパクトが起こったも同然です。
  彼はゼーレを憎んでいるでしょう。手を組むとは思えません。
  むしろ潰そうとするでしょうね。対抗組織をけしかけたりして」
 「我々はそうかもしれないが、君もだめなのかね?」
 「無理でしょうね。このパターンのシンジは、アンチゲンドウのことが多いですし」
「ア、  アンチゲンドウ?」
「はい。彼にとっては『ただ母さんに会うためだけに、僕を捨てて綾波を利用し、
サードインパクトを起こそうとした父さん』ですから。
ゼーレと同じくらい憎しみの対象になっているでしょう。
こちらから会いに行っても、門前払いをうけるでしょうね。
それに元々碇家は、ゲンドウに対してよい印象を持っていないのでしょう?」
 「・・・ではどうすればいい?」

どうすればいい?そんなの俺が聞きたいくらいだよ・・・







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