こうして、俺は女にされました。シンジに
ある男の悲劇と対策
第8話
「うぅ、汚されちゃったよ・・・」
シンジは横で笑みを浮かべて満足そうに眠っている。
その顔がとても憎たらしい。ユイも向こうで笑みを浮かべている。
くそう。ここが心の世界でなければ、こんなに好き勝手にされることは・・・?
(ちょっと待てよ?ここが心の世界で、何でもイメージ通りになるのなら、
この姿も、ちゃんとイメージできれば元に戻れるんじゃないか?もしそうなら)
「むむむむむむむむむ」
俺は、何とか元の姿をイメージしようとした。
イメージするのはなかなか難しいが、やれるだけやってみよう。
「うふふ、無駄ですわよゲンドウさん」
「何がだ?」
「イメージできれば、元の姿に戻れると気づいたのは流石ですけど。
言ったでしょう?私は長い間ここにいたんです。一人ではできませんでしたが、
さっきシンジにも協力してもらって、プロテクトをかけさせてもらいました。
いくらイメージできたとしても、元の姿にはもどれませんわ。
もちろん、他のエヴァに解けたとしても無理でしょうね。
そのプロテクトの解除、もう私やシンジにもできないでしょうから」
そう言ってユイは笑う。これがお仕置きなのだと。
(まったくなんて女だ!もう何をやっても無駄なのか?)
「って、ああ!!!!」
「どうしました、ゲンドウさん?」
俺は気づいてしまった。
(もしかして、ゲンドウの姿じゃなければこんな事にはならなかったんじゃあないのか?)
俺はゲンドウとなってから、少しでも疑われることが無いように、
常に自分が「碇ゲンドウ」であることを心がけていた。別人と気づかれないように。
仕草や考え方等も、「碇ゲンドウ」の記憶を頼りに、
あくまでゲンドウ本人がやっていると見えるようにしてきた。
おかげで、こうして心の世界にいてもゲンドウの姿でいられるようになったのだが。
(まさか、それが裏目に出るとは。もし神野耀貴の姿でここにいたら・・・)
こんな目に会うことも無かったのだ。
変わりに、偽者と疑われて今日までの間に殺されていたかもしれないが。
俺は、自分の不幸さを思いさめざめと泣いた。
「あらあらゲンドウさん、そんなに泣かなくても良いじゃない。これからは女として楽しめば」
「・・・・・ふぇ?」
「という訳で、シンジの次は私の番よ」
そう言ってユイは近づいてくる。いつの間にか、彼女の股間には立派なナニが!
(い、いかん!!このままではヤられてしまう!こうなったら一か八か)
「あ、あのユイさん」
「なぁに、ゲンドウさん?」
「じ、実は俺、碇ゲンドウでは無いんです」
「もう、いきなり何を言うかと思えば、そんなウソをつくなんて。
お仕置きの内容増やしちゃおうかしら」
「ほ、本当なんです!!」
俺は、必死に説明をした。
本名は神野耀貴であり、この世界の人間ではないこと。
気が付いたらゲンドウになっていたこと。
本物の碇ゲンドウは、今キール・ローレンツになっていること。
その他、今の外の世界の現状、自分達が何をしようとしているか等、
必死になって説明した。
「・・・・・う、うそでしょ?」
「本当です。外に出てキールと話せば分かると思います」
とたん真っ青になるユイ。それもそうだろう。
ゲンドウ本人と思ってこんなことをしたのに、実は別人だったのだから。
しかも戻せないらしいし。
「ご、ごめんなさい」
シュンと項垂れるユイ。何時も間に起きたのか、シンジも俺を見て真っ青になっていた。
「あの、分かってもらえたのなら、元の姿に戻してもらえませんか?」
「・・・・ごめんなさい。無理なんです。
さっきも言った通り、私やシンジにもプロテクトの解除はできません」
俺は目の前が真っ暗になった。
「そ、そんな。色々頑張ったのに・・・。俺はあくまで、男として皆を愛したいんです。
本当にどうにもならないんですか?」
首を横に振るユイ。本当に、もう女として生きていくしかないのか?
そんなのあんまりだ!!!
そんなことを考えていると、今まで黙っていたシンジが口を開いた。
「あの、全身を戻すことは無理だけど、一部を戻すことはできると思う」
「本当かシンジ君?!」
「う、うん。多分だけど、その、アレをもどすくらいなら」
「ありがとう!!」
「わぁ!!」
余りの嬉しさに抱きつく俺。胸に頭を挟まれて、真っ赤になるシンジ。
「そうね。それならできるかもしれないわね。
でも、あくまでイメージが大事だから、それを忘れないで」
「は、はい!」
「じゃあ、私とシンジはプロテクトを担当するから、
あなた・・・って、なんて呼べばいいのかしら?耀貴さん?」
「いえ、ゲンドウで通したいと思っていますので、俺のことはゲンドウと呼んでください。
ゲンドウさんも、キールで通すそうなので」
「分かったわ。じゃあゲンドウさんは、イメージをお願いね。
言っておくけど、チャンスは多分1度きりよ。うまくイメージできなければ、
最悪の場合女の機能も失うわ。もしかしたら、無理がきて体か崩壊するかもしれないし」
「それでもかまいません。やります」
「・・・そう、分かったわ。シンジ、ゲンドウさん、始めるわよ」
そう言って集中するユイとシンジ。俺も頑張ってイメージをする。
(どうせなら、立派なモノをイメージしないと。
そういえば、シンジ君はなかなか立派なモノを持っていたなぁ。
実は最後のほうは、本気で感じてたんだよね。女っていうのも、
あれでなかなか良かったのかもしれない。って、まずいまずい。ちゃんとイメージしないと)
「ふぅ、どうやら旨くいったみたいね」
「そうですね」
何とか成功したようだ。これで一安心できる。
「どれどれ、見た感じ問題は無いみたい・・・って、あれ?」
「どうしたんですか、ユイさん?」
「な、なんで女の方も付いてるの?」
「へ?」
確かめてみると、たしかにそっちも付いている。どうして?
(もしかして、さっきシンジ君との事を考えたからか?)
「あの、もう一回できませんか?」
「ごめんなさい、無理よ。今のイメージを定着させることで精一杯だったの。
これ以上すれば、本当に体のイメージを保てなくなるわ」
「そ、そんな・・・・」
こうして、俺は無事(?)両性有具になりました。
フェロモン機能が付いたままで